『ラ・ピラート』

『ラ・ピラート』(ジャック・ドワイヨン) 1.扉とガラス ドワイヨンにとって扉は以下のようなものである。「かって、私はあるドア・メーカーにスポンサーになって欲しいと願い出たことがあります。それほど私はドアが好きなのです。(中略)ドアのない四○人共…

『ブレイキング・ニュース』

アパート群と青空が仰角でとらえられ、その後角度を下げていくカメラは一つの通りを映し出す。鬚面で長髪の一人の男がそこを歩いている。その男があるアパートの階段を登っていくと、カメラはクレーンでアパートの外側から上がっていき、一つの部屋が捕らえ…

『PTU』

香港の夜の飲み屋で一人の若い男が食事をとろうと机についている。そこにマフィアのボスの息子マーと四人の仲間が入ってくる。先ほどの男の隣のテーブルを案内された五人は、そのテーブルが気に入らないのか、男が座るテーブルに移動してくる。マフィアに恐…

『百年恋歌』

1966年の「恋の夢」、1911年の「自由の夢」、2005年の「青春の夢」の三部からなる。「恋の夢」の冒頭、横に長い窓が映り、右下にスー・チー(舒淇)の横顔が見える。カメラはティルトダウンし、彼女の上半身を捉えていく。続いてカメラは左下へと移動し、ビ…

「ディーバ」からはじまるー声が支配する

80年代初頭に、フランス映画はある種の傾向が支配する。68年世代のユスターシュ、ピアラに代わり非政治的な世代が台頭する。それが、ジャン=ジャック・ベネックスであり、リュック・ベッソンでありレオス・カラックスである。彼らはコッポラやファスビ…

『帰れない二人』

リャオ・ファンとチャオ・タオの乗った車がバイクに囲まれる。車から飛び出した運転手は若者達にめった打ちにされる。車のガラス越しに事態を見ていた前者はガラスを破って鉄拳を見舞うが、多勢に無勢ゆえに立体エンブレムにしたたか頭を打ちつけられる。後…

2012年蓮實重彦氏ベスト10

film comment誌 2012年蓮實重彦氏ベスト10『灼熱の肌』(フィリップ・ガレル)A Burning Hot Summer 『メカス×ゲリン 往復書簡』(ジョナス・メカス&ホセ・ルイス・ゲリン)CORRESPONDENCIA 『ホーリー・モーターズ』(レオス・カラックス)HOLY MOTORS 『…

2011年蓮實重彦氏ベスト10

film comment誌 2011年蓮實重彦氏ベスト10『ボクシング・ジム』(フレデリック・ワイズマン)Boxing Gym 『無言歌』(ワン・ビン)The Ditch 『エッセンシャル・キリング』(イエジー・スコリモフスキ)Essential Killing 『ファンタスティック Mr.FOX』(ウ…